「国立病院DRG試行における医療情報システムの対応等について」:
(診療情報の価値とその必然性)

 

オーガナイザー:阿南 誠


DRG/PPS試行に伴い、その概要や運用の状況の紹介、そして、最も重要かつ必要とされるデータベース(診療録管理)と医療情報システムのあり方を考える。

DRGの概念は必要である、その肝はデータベースである。
しかし、データベースがないから日本の医療は何をやっているかわからん、EBMもくそもない・・・。さらに、少なくとも当院の医療情報システムは全く無力でありDRGに関係する情報は何一つ作ることは出来なかった(看護などの業務量の調査も含めて)。

そういう意味では、今回の試行は、非常に意味があったし、データベースの必要性ということについて、問題点を明らかにした(次なる手がどうなるのか問題はあるものの)。

PPSの部分の議論は出来高でも共通にあったはず、しかし、今までは比較する対象がなく、ばらつきを容認したり、そもそも、ばらつきがあることすら忘れていた(無視した)と考える>今回の議論からははずすが。
そういう意味でもこういうことを明らかにしたという意味もある。

 



 

阿南 誠
国立病院九州医療センター医事課統計病歴係長 

 

98年11月1日から国立医療機関など(国立8、社会保険2)で、急性期入院医療の定額支払い方式(DRG/PPS)の試行が開始された。

今回、初期段階ではあるが、試行についての問題点、それを当院ではどのようにして解決しているか、特に、診療録管理室(診療情報管理士)での診療情報の扱いについて、運用方法等を述べる。

その中で、DRG試行(がもたらすこと)について、次の3点をキーワードとした。

1)Critical pathの導入、ICDコードなどの「標準化」の促進

2)データーベース構築などの「情報化」の促進、ただし、出来高(行った診療行為)の把握が不要になるわけではない。

3)運用に、データ「精度の保証」が必要。

加えて、医師の記載した診療録を読みながら誤りを補正したり、データベースを構築したり情報に関わる人材が必要となる。それを誰が担っていくのか、今後の課題であると考える。