SecuredDICOMServerを使った
Webインテグレーション例のご紹介

 

田中 知美2)、中島裕生1)、向井まさみ1)
1) ニチメンデータシステム株式会社 技術部
2) ニチメンデータシステム株式会社 ADS営業部

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1. はじめに

近年、フィルムとの並用を含め画像を電子的に保存し、利用することを目的とした画像システムを導入している施設の話題を非常に多く目にする。また、最近では、特にただ画像を保存していくだけではなく、どのように利用するのか、利用の際のセキュリティをどのように確保するのか、という点について、関心の度合いが高いと感じられる。

我々は、マルチプロトコル対応の医用画像サーバモSecurdDICOMServerモを開発し、医療機関殿に導入させていただいている。モSecuredDICOMServerモは、WEBサーバ連携機能が構築しやすいエンジンを採用しているため、多くの場合、ユーザインタフェースにWebブラウザを採用したシステムをご提供している。

この稿では、最新の提供機能として、(1) レポート管理システム (2)画像Viewer について ご紹介する。

 

2. "SecuredDICOMServer"の提供機能

SecuredDICOMServerを、各部門のローカルサーバおよび中央画像サーバとして設置し、施設内全体の画像管理システムを実現することができる(図1参照)。

 

(1) レポート管理システム

医療機関内で発生するレポートは、放射線画像診断レポート、超音波診断レポート、病理診断レポート、剖検レポート等、多種に渡る。当機能では、これらの多種多様なレポート情報をDICOM規格のStructuredReport(Supplement23)に準拠した形で保管(SDS-ReportingServer)し、ユーザインタフェースにはWebブラウザを用いて、レポートの作成や参照などの一連の操作を可能とする(SDS-ReportingViewer)。

また、画像サーバと連携することにより、各検査機器から取得した画像を参照しながらレポートを書くこと、また、レポート参照時に該当する画像情報を参照することなどが可能となる。

 

 

(2) 画像Viewer(SDS-WebBrowser)

ローカルにあるDICOM画像、もしくは、画像サーバに格納されている画像を、Webブラウザ上で参照可能とするViewing機能である。画像の拡大・縮小処理、アノテーション、反転・回転処理、DICOMタグ表示機能、等を持つ。

当機能も画像サーバと連携して、検査画像の検索からスムーズに画像の参照までを全てWebブラウザ上の操作で行うことが可能となる。

 

3. その他の拡張機能

(1) セキュリティ機能の充実

1) 画像取得系

モダリティから発生した画像は、多くの場合施設内のネットワーク上を走ることになる。この時、画像情報の改竄、なりすましを防止するために、取得側(画像取得ゲートウェイ)−画像サーバ間で、公開鍵暗号方式PKIとMAC(Message AuthenticationCode)方式を用いたメッセージ認証を採用したDICOMプロトコルによる画像送信手段を開発した。

当機能については、別稿で改めて報告する。

 

2) 画像利用系

画像利用系については、ユーザインタフェースにWebブラウザを採用しているため、インタネット技術を利用して、セキュリティの確保を実現している。

施設内で利用される場合には、SSLを用いたデータの暗号化、CAキーを用いた相互認証を提案し、利用している。

地域医療支援など、広域の情報交換には、ワンタイムパスワードモSecurIDモや、ExtraNet構築用システムであるモAventailモ等の製品を組み合わせて、不正アクセスの防止(ユーザ認証)、VPN暗号通信を行っている。

 

(2) 他システムとの連携機能

連携するシステムの性格により、連携方法を工夫していかなければならないと考えている。

例えば、検査画像撮影機器が持っているネットワークシステムとは、DICOM-WORKLISTを採用し、検査予約情報・実施情報の送受信を実現する予定である。また、他施設との情報交換を行う場合には、MMLを用いて、治療経過情報等を送受信することが適当であると考える。この時、運用する施設間で、一括して当該患者さんに関する総合的な情報を送信したり、経過情報、治療実績情報を順次送信したりすることの可能な運用上の規約なども規定していかなければならないと考える。

 

4. 所感

これまでは、所謂、初期のPACSシステムに期待されていたような、画像保存と限られたユーザ(読影医)による画像診断のみが多く実現されてきた。今後は蓄えられる画像は読影医のみでなく主治医も含め研究、教育にと広範囲に利用されていくものと考える。その際の重要な技術はWEB技術であろう。また、DICOM規格により、画像とそれに関連する属性情報の一体化は達成されたが、今後、レポート情報を含め病歴/治療歴といった医療情報との有機的な情報のつながりが求められると思われる。同様に、同時的に施設関連携での画像を含めた医療情報の交換が進むものと考える。我々はこうしたニーズの変化に十分対応した製品を開発し、提供していくつもりである。

 


 

参考文献

[1]中島、杉本、向井、鈴木:セキュリティを確保したDICOM準拠医療画像データベース管理システムの開発:第18回医療情報学連合大会論文集、1998

[2]中島、杉本、向井、鈴木:オブジェクト・リレーショナルモデルを採用したDICOM準拠の医療画像データベース管理システム:第18回医療情報学連合大会論文集、1998

 

 

以上