CoMet(Cooperating Medical Network)による地域医療資源活用の新たな試み

児島純司、山川和之、山本浩介、岸 裕二、藤井純司※、
Junji Kojima,Kazuyuki Yamakawa, Kousuke Yamamoto, Yuji Kishi, Junji Fujii

洛和会音羽病院情報システム部、※山科医師会医療情報理事
Medical Information System,Rakuwakai Otowa Hospital
※Director of Medical treatment information bureau in Yamashina Medical Association


【はじめに】

山科医師会では平成10年より画像情報共有化等、地域医療情報連携に積極的に取り組んでいる。しかし、当時回線がINSしか無かった等インフラやセキュリティーの問題があったため医師会全体には普及せず反省点となった。平成15年、厚生労働省の地域診療情報連携推進事業を受け、山科医師会員の88%(92施設)が活用する新たな試み=CoMet(Cooperating Medical Network)の運用を開始したので報告する。


【目的】

既に全国で稼働している地域診療情報連携推進事業では診療情報提供書の電子化や電子カルテの公開が主体となっているが、電子カルテを自ら使用していない医師への導入メリットは少なく、全医師会員が参加しているシステムは皆無である。我々は病院主体ではなく、診療所が必要なIT化に主眼を置き、全医師会員が毎日使う事を目的として開発を行った。


【CoMetの概要と特徴】

例えば、山科医師会診療が診療情報提供書を1通/日作成した場合、病院では100通/日の書類処理がIT化で効率化がされるが、診療所がこのためにIT化を望むかと言う議論から始め、医療情報を診療情報に限定することなく医療機器や地域で活動する医師自身も医療資源として連携すべき情報とした。
CoMetには、日々診療活動するのに必要な、(1)医療ニュース、(2)会員間メール、(3)臨床相談室、(4)CoMet使い方相談室、(5)ビデオ配信(教育用)、(6) 等が装備されている。無論、診療情報提供書を作成する機能や電子カルテ使用病院の診療データ参照機能もある。特に電子カルテデータベースを外部から直接アクセスするのではなく、電子カルテ(複数可能)データをリアルタイムにMML Ver3サーバーに出力し、山科地域での1生涯1カルテの基盤も作り上げた。


【使用状況】

平成16年3月1日より試験運用を開始した。光回線設置が完了した診療所から順次アクセス開始(3月末で60施設)となったが53診療所が平均19回/1診療所/月のアクセスを行っており順調なスタートであった。


【総括】

今後の議論として、(1)継続して活用されるのか、(2)診療の質を変えるのか、(3)紹介・逆紹介が進むのか等を追跡することで本事業の是非を判断したい。