HOTプロジェクトへの参加

葉山 幸治(はやま こうじ)
三洋電機株式会社 メディカル事業本部 メディコムビジネスユニット


はじめに

2004年4月より、東京都医師会を中心にMML紹介状を利用した地域医療連携プロジェクト「HOTプロジェクト」が開始された。
これを受け、当社では、以下の理由からHOTプロジェクトへ参加することを正式に表明した。

  1. 電子カルテを導入する最終的な効果は地域連携の実現にあると考えていた
  2. 電子カルテを早期に導入するメリットを示したかった
  3. ユーザ様からの強い要望
  4. 企業としての社会貢献
  5. HOTプロジェクトのコンセプトが明快かつ、具体的であった
    (都民の健康を守る、運営主体が明確である、マルチベンダ参加型である)
  6. 業界の標準仕様であるHL7+MMLを使用している

開発したシステムは、
電子カルテ(Dr's Partner)から診療データを取り出し、MML紹介状を簡単に作成するアプリケーションである。 本発表では、MMLを利用するアプリケーションの実装経験のなかった1企業の電子カルテ開発者という立場で、 今後MMLを利用した実運用に耐えるアプリケーションを開発する多くの開発者の参考となることを目的として発表する。

実際の開発で悩んだ点・助かった点

開発コンセプトを「使ってもらえる病診連携アプリケーション」に定めて、実際に開発を 行ったが、開発には、様々な苦悩と試行錯誤が伴った。 また、同様に開発を行う上で大きな助けになった点も存在する。
これらは、大きく、

  1. アプリケーションの機能・運用に関するもの
  2. MMLの仕様に関するもの
  3. HOTプロジェクトでの運用に関するもの

に分類することができる。

苦悩した点の概略は次の通りである。
1の「アプリケーションの機能・運用に関するもの」については、電子カルテとは異なるアプリケーションの持つ特異性によるものが多い。
2の「MMLの仕様に関するもの」については、MMLを利用するアプリケーションの実装に対する経験がないことに起因することが多いが、実際の運用を考えた場合に、一部利用しづらい点が存在した。
3の「HOTプロジェクトでの運用に関するもの」については、現在まで基盤整備が中心に行われてきたため、実際に導入・運用を行おうとした際の利便性向上まで手が回っていないためであると思われる部分である。

一方、実装を行う上で大きな助けになった点の概略は次の通りである。
2の「MMLの仕様に関するもの」については、豊富な参考例や強力な技術サポートなどがあげられる。
3の「HOTプロジェクトでの運用に関するもの」については、定期的に開発ベンダとの会合を設け、要望・相談にあたる機会を設けて頂けたことなどがあげられる。


終わりに

今回の発表が、より多くの開発者が電子カルテ・地域医療連携システムの開発に参加する際の参考になり、 電子カルテが普及し、更に、HOTプロジェクトをはじめとする地域医療連携が推進され、 安心で効率的な医療が実施される助けになることを強く希望する。

参考サイト

HOTプロジェクト ホームページ
http://www.ocean.shinagawa.tokyo.jp/hot/

MedXMLコンソーシアム ホームページ
http://www.medxml.net/

電子カルテシステム(Dr's Partner) ホームページ
http://www.drspartner.jp/

メディコム ホームページ
http://www.medicom.sanyo.co.jp/