津山中央病院におけるカルテ電子化の試み

 

宮島 孝直
津山中央病院システム開発準備室

                     


            

巷間いわゆる電子カルテシステムを形成する上で、医療情報とカルテという述語が混乱して使われているように感じられる。医療情報は充分に標準化のうえ構造化し、MMLにも対応して各医療機関での医療情報の交換に備えるべきである。一方日本でいう所の「カルテ」はlogである。患者別に時系列で為される日々のlogであり、患者別に検索し得てそれが時系列に閲覧できて必要に応じて患者単位のサブセットとしてのカルテ(ファイル)が取り出せれば充分であると考える。医療情報全体をデータベースで管理しておいていわゆるカルテをondemandでサブセットとして作製するという考えには無理があると結論した。W社PWSはいち早くその事実に気づき、イメージデータにカルテフォームをfixし、データベースと別管理にする事によってこのlogとしてのカルテを形成している。しかしながら、この「イメージ」としてlogを保存する方法はきわめて再利用性に乏しい点が大きな問題であった。そこで我々はこの部分の仕様の改良に取り組んだ。少なくとも全文検索のできるような方法を備えれば、通常患者単位で行う検索の殆どが患者カルテの検索のみにて可能となる。医師の日々の記載としての狭義のカルテにおいて、いわゆるテンプレート方式は一般的臨床使用には適さず特殊な用途に限られるとの結論を得た。カルテ記載において、構造化を意識しながら記載する事は殆ど不可能と考え独自のIndex記述による記載法を創案した。このカルテにおいてはイメージもtextも自由に混在させる事ができ、凡てのtext記載に関して全文検索が可能な仕様とした。又、特定のformatを使用する事によっていかなるアプリケーションから作製された記述も容易にカルテして受け入れる事が可能となった。各種サブシステムの情報も先述のカルテのlogとしても意味に基づき、二重に記載する事なく容易にカルテに添付する事も可能となった。一方医療情報について鑑みるに、充分熟慮された構造化を為す事が必要であるが、そのtagは必ずしも既知ではなく、医療の変遷によって大きく変化する事は必定である。この変化に柔軟に対応できる必要があるが、単独のシステムでこれを実現するのは非常に困難となる。医療情報として本質的に重要で根幹として管理する必要のあるものと、部門システムとして管理するものとにブロック化して、それらの間のインターフェイスを簡単に実現できるformatを利用した。